「ねぇ、ここ、何だか見たことがあると思わない?」

 いきなりアキが、カガリに向かって声をかける。

「え~っ、森なんて、みんな同じようなものなんじゃあないの?」

ユウジが、からかうように言う。

「うん、それはさっきから、ボクも思ってた」

ショータもうなづく。

「どう?」

アキが、カガリを振り向くと、

「うーん、どうかなぁ」

カガリには、まだ、確信が持てない。

どこが、と言われてもわからない。

だが…何か、引っかかるものを感じる。

(なんだろう?)

アキも、その正体を考えるけれども…

「あっ!」

いきなりショータが、声を上げる。

「あそこだ」

ポンと言うので、

「えっ、なに?」

「あそこって、どこ?」

アキとカガリが、ショータに食いつく。

「え~っ、そうかなぁ」

ただユウジだけは、何も思わないようだ。

「あの森だよ」

「あの森って、どこ?」

「ほら、最初に行った、お化け屋敷のあった、あの森だよ」

そう言い放つ。

「あ~っ!」

思わずアキが、大きな声を上げる。

「ホントだわ」

「えっ」

カガリには、まだピンとは来ない。

 

 もともとここは、あの森とつながっていたはずだ。

なので似ていても、少しもおかしくはない。

アキはカガリに向かって、

「ほら、あそこを見て!」

大きな木の向こうを、指し示す。

「あの木の形、あの並び方…

 あの鳥の巣といい、ソックリだとは思わない?」

アキはさらに、言葉を並べ立てた。

 

 

 

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