「え~っ、だってリモコンは関係ないって、言ってただろ?」
相手のペースに、惑わされまい、と裕太はギュッとこぶしを
握り締める。
「そんなこと、言ったっけ?」
ようやく自由に動ける…とばかりに、ドローンは上へ下へと、
アップダウンを繰り返す。
(やっぱりだ。スィッチを入れたけど、ボクは操作していないのに)
裕太が、不審に思っていると、
「当たり前だろ?
あらかじめボクは…プログラミングされているんだから!」
相手はなぜか、得意気に返してくる。
「えっ?なんだよ、それ」
あのオジサン、そこまでしていたのか?
だが裕太は、そんなことはひと言も、聞いてはいない。
だがドローンは、裕太の心の内を読むように、ヒュンヒュンと
裕太の周囲を上下する。
「それはそうだよ!
だって、これは…後で付け足した機能なんだから」
自慢気な声で、返してきた。
へっ?
裕太は思わず、リモコンを落っことしそうになる。
「おっとぉ~気を付けてくれよ」
すかさず声の主は、裕太に注意する。
「何だよぉ~ねぇ、一体キミは、どこにいるんだ?」
もったいぶらないで、ちゃんと顔を見せろよ。
ついに裕太は、声を荒げる。
「どこにって…今、君の目の前にいるだろ」
相手もさるもの。
その手には、のらないぞ…と言わんばかりに、きっぱりと
言い放つ。
「そうじゃなくて…今、話しているのは、誰なんだ?」
いいから、サッサと姿を見せろよ、と裕太はドローンに
向かって、怒鳴るように叫んだ。