「アリスの世界が、ここまで続いているのかしら?」
アキもカガリに、話を合わせる。
「じゃあ、あのイモムシさんみたいなのも、会えるのかしら?」
まるで、ピクニックにでも行く口調で、カガリが楽しそうに話しかける。
ショータは、フッと上の方を見ると…
「でも、夜になったら、不気味なんだろうなぁ」
フッとつぶやく。
「そう?」
「そうかなぁ」
たちまち、白けた空気が流れ、何となく三人の口も重くなる。
「それだったら…暗くなる前に、出ればいいじゃない」
「ペガサスに、乗せてもらうとか?」
「あっ、それはいいわねぇ」
それでも何とか、その場の空気を和らげようと、アキとカガリが
話し続ける。
だがショータは、前を向いたまま、
「それは、ムリだろ」
ポンとそう言い切る。
「大体四人も乗ったら、ペガサスがつぶれてしまうよ」
相変わらず冷静に、ショータが水を差すようなことを言う。
「ちょっと、ショータ!」
ついにアキがたまりかねて、声を上げる。
「なに?」
ショータがつぃっと、視線を上げる。
「さっきから、なに?
せっかくみんなが、盛り上げようとしているのに。
邪魔するようなことばっかり言って!」
アキは怒髪天で、言い放った。
「あれ、そうなの?」
だがショータは、心外だなぁと、キョトンとした顔をする。
「だって、ホントのことだろ?
あんまり現実逃避をしたらいけない、と思っただけだ」
いつものショータらしくなく、アキに向かって、キッパリと
そう言い放った。