深い森の中で、ポツンポツンと、光の玉が浮かんでいる。
「あれ、なぁに?ホタル?」
重苦しい空気を変えようと、カガリがわざと明るい口調で
話しかける。
「ホタルじゃないよぉ」
ははは、とユウジが笑う。
「じゃあ、何なのよぉ」
確かに、まだ昼間のはずだ。
あの光の玉の正体は、何だというのだ?
アキはカガリに気を使って、
「そうねぇ」と頭をかしげる。
「たぶん何かが、光に反射しているんじゃあないの?」
くもの巣に水滴とか?
アキも、カガリに合わせるように言う。
だがショータは、上の空のようで、先ほどから黙り込んでいる。
(一体、何を考えているのだろう?)
アキはちょっと、気になる。
「それにしても、ナイトってば、どこまで行くつもりなのかしら?」
ショータに聞こえるように、アキはわざとハッキリと話しかける。
「さぁねぇ」
だがショータが、のって来る気配がない。
「まさか…迷っているとか?」
ははは!
今度もまた、ユウジが笑いながら答える。
何となく…ショータには、からみづらい空気がある。
「あっ、あれって、チョウ?」
珍しい色合いのチョウが、フワフワと浮かんでいる。
「ガかなぁ」
今日はやけに、ユウジが口をはさんでくる。
よく見ると…カガリの言う通り、ここには見たこともない
虫や花が咲いている。