「ジュンペイくん?」

 聞こえてくるのは、女の人の声だ。

(えっ、だれ?

 ジュンペイの知り合い?)

だがこの声には、裕太は聞き覚えがない。

「あれ?ジュンペイ君じゃあないの?」

だがどこか、この声は不自然に聞こえる。

なんでだ?

裕太は、自分の耳に集中する。

(声か?それとも、話し方?)

いや、ちがう…

おかしなところは、ない…と思うのだが…

(なんで、ジュンペイの名前を知っているのだ?)

裕太の直感が、おかしい…と感じるのだ。

それに、声がころころ変わるのも、おかしい…

(えっ?合成?ボイスチェンジャー?それとも…AI?)

どれも違う気がする。

大体、ジュンペイのドローンを作ったのは、自転車屋のオジサンだ。

そんな機能は、なかったはず…

裕太は、唾を飲み込む。

 

「あの、キミは…だれ?」

 今度は、男の人の声に変わる。

(ますます、変だ…)

どういうこと?

まるで、キツネに化かされているみたいだ…

裕太は、どう返したらいいのか、わからない。

「えっ、あの…」

戸惑いを隠せない。

「あっ、そうかぁ~キミは、ジュンペイ君の友だち?」

今度は、男の子の声に変わる。

(一体、どうなっているんだ?)

まるで…この声の主に、からかわれているみたいだ。

「あの、ボクは…」

ようやくそう言いかける。

すると、ゆっくりとドローンが、裕太の前に姿を現した。

 

 

 

 

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