それでもしばらく、辛抱強く待ち続けていると…
ようやく視界に、あのドローンが見えてきた。
「あっ、あれか?」
もしかして、あれが、ジュンペイの探していたドローンなのか?
この機会は、逃すまい。
裕太はギュッと、リモコンを握りしめる。
レバーを操作して、こちらに飛んでくるよう動かしていると、案外
まっすぐに、こちらに向かってくる。
やっぱり、このリモコンがそうなのだ。
裕太は何だか、小躍りしたい気分になる。
(これで、きっと、ジュンペイを助けることが出来る!)
ワケもなく、嬉しくなる。
「喜ぶのは、まだ早い」
いきなり声が、聞こえてくる。
「だれ?」
今度は、ジュンペイの声ではなく、別の人の声だ。
(えっ?やっぱり、ジュンペイのじゃあないの
そんなバカな…
裕太はすっかり、力が抜ける。
「あの子を助けたいのなら、キチンと私を通してもらわないと」
なぜかハッキリと、聞こえてくる。
一瞬、うなづきそうになるけれど…
すぐに裕太は(あれ?)と違和感を感じる。
おかしい…
何でだ、と考えていると、ようやく違和感の正体に気が付く。
(リモコンは、ここにあって、操作もできるのに…
なんで声が、聞こえてくるの?)
まさか、ハッカーか?
それとも、このリモコンが、実はダミーなのか?
「何だぁ~違うんだぁ。ジュンペイのじゃあないんだ…」
思わずポツンとつぶやいた。