「え~っ、何のこと?」

 すぐにジュンペイが、聞き返す。

どうやら本当に、身動きが取れなくて、困っているようだ。

「リモコンだよ」

ポンと裕太は返す。

「リモコン?」

何のことだ、とジュンペイが返す。

「そう、リモコンだ」

「リモコンって、ドローンの?」

「そうだよ」

「なんでぇ?」

姿は見えないけれど、明らかにジュンペイは驚いているようだ。

裕太だって、そうだ。

何で自分の所に、ジュンペイのリモコンが落ちていたのか…

説明がつかないからだ。

「でも、どうして、それを?」

「どうしてって…拾ったからだ」

「拾ったって、どこで?」

「だから、洞窟だよ」

「洞窟って、どの辺りだよ」

裕太に信じられないのだから、当然ジュンペイも信じられないのだろう。

「どの辺って…そんなの忘れたよ。

 とにかく穴に落ちていたんだよ」

そうとしか、言いようがない。

「でも穴って…ここら辺は全部、穴だらけだよ」

「そう言われれば、そうだなぁ」

洞窟自体が、でっかい穴なのだから。

 ははは!

思わず裕太は笑う。

何だか、ジュンペイと話をしていると、ここが洞窟だということを

忘れてしまいそうだ。

自分がジュンペイのことを、助けに来ているなんて。

「とにかく、どうやってリモコンを、渡したらいいのだろう」

当面の問題は、それなのだ。

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ