「アキちゃん、大丈夫か?」
ショータが駆け寄ると、小さな穴蔵のようなところに、閉じ込め
られている二人を見つけた。
「ショータ!よくわかったねぇ」
嬉しそうに、アキが鉄格子のすき間から、手を差し伸べる。
「ねぇ、ケイタは?」
青白い顔をして、カガリはショータに向かって、尋ねると…
「ケイタ?いや、見なかったよ」
ショータの代わりに、ユウジが答える。
「そうかぁ~」
アキは、ガッカリした声をもらす。
「それよりも、ここから出なくちゃ」
ガシガシと、鉄格子を揺らす。
そうだなぁ~
ショータは、何かいい方法がないか…と、頭をひねる。
今、手元にあるのは、懐中時計と笛、そして…金色に輝く馬。
「うーん、ロープか何か、あればなぁ」
さすがに、自分たちの力では、壊すことは出来ないだろう。
ショータは、うーんと考え込む。
「ねぇ、下が掘れたら、この鉄格子は抜けるよね?」
ユウジが、ショータに向かって言う。
ショータはサッとしゃがみ込むと、
「うーん、それは無理かもなぁ」
鉄の棒に手を触れて、彼らに告げる。
「やっぱり、そうかぁ」
アキも「うーん」とうなる。
「ここには、何にもないなぁ」
氷の牢の中を見るけれど、見事なくらいに、ツルンとした、
何もない空間だ。
「せめて、カーテンか何か、あればなぁ」
ショータがつぶやいた。