「いや…それは…」

 いつもの威勢のいいケイタは、どこに行ったのだろう?

やけにオドオドとして、チラチラとアキとカガリに目を向ける。

「なら…わかるわね?

 あなたが、決めるのよ」

そう言うと、氷の女王はふぅっとケイタに向かって、息を吐きかける。

ふわぁ~

氷の結晶が、ヒラヒラと宙に舞う。

ケイタは、ポワンとした顔になると、また無表情に戻る。

 

 いけない!

アキはとっさにそう思い、ドン!と氷の女王を突き飛ばす。

「ちょっと、邪魔をしないで!」

女王はビシッと声を荒げると、アキに向かって、息を吹き付けようと

する。

アキはポケットに手を突っ込み、鏡を取り出して女王に向ける。

「何をする!」

 ケイタ、早く!

アキは、ケイタの腕を引っ張る。

鏡は、女王の息を反射して、みるみる凍り付いていく。

 

「ケイタ、何をしているの?

 早く、逃げるのよ!」

 だがケイタは、カカシのように、その場に立ちすくむ。

「だめよ、その子は…

 もう、あなたたちの言うことは聞かない」

 遅かったわね!

氷の女王は、勝ち誇ったように、そう言う。

 一体、何を言っているのだろう?

アキは、ケイタの腕を引っ張る。

 だがケイタは、パッとその手を振りほどく。

「ちょっと、ケイタ!早く逃げよう」

ケイタは、それには答えない。

最初に見たように、目から光を失って、ドロンとしていた。

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ