コンコンコン…

思い切って、アキはノックする。

だが、返事が返ってくるわけではない。

チラリと、カガリと目を見合わせると、扉に手をかける。

ヒンヤリとした金属の感触だ。

無言で、取っ手を押す。

(まさか…開いているわけ、ないよね?)

そう考えていたけれど…予想に反して、あっけなく開く。

「あっ…」

 アキは、うろたえる。

「アキちゃん」

カガリに励まされ、グッと押し開く。

すると、白一色の部屋に、男の子が一人でうずくまっているのが

目に入った。

 

 

「あっ!

「ケイタ?」

 そこにいたのは、見覚えのある男の子だった。

見たところ、特に拘束されているわけではなさそうだ。

もちろん、見張りもいない。

(どういうこと?)

アキは警戒する。

 ケイタは、二人に目をやるけれど…

どうも、反応が鈍い。

「どうしたの?ケイタ…助けに来たわよ」

 何だか、調子が狂うなぁ~

(私たちのこと、忘れたの?)

 まるで、初めて会う人を見るように…

チラッとアキを見ると、再び下を向く。

「ねぇ、何をしているの?

 早く、みんなの所へ帰ろう」

アキは、ケイタの手を取る。

 だがケイタは、ビクンとした顔をすると、その手をパシンと

振り払う。

「えっ?」

アキは、その場に固まる。

(どうして?何かあったの?)

ケイタのしたことが、どうしても受け入れられない。

(何かの、間違いよね?)

自分に言い聞かせるように、自分をなだめた。

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ