おかしなものだ。
自分よりも小さなこの背中が、やけにしっかりとしているように見える
のだから…
ジンさんが、ついてこない理由が、何となくわかるような気がした。
「リュウは…リュウタのことが、分かるの?」
思わず裕太は、聞いてみる。
「へっ?」
リュウはキョトンとしたまなざしを、裕太に向ける。
「当たり前だろ。
だってボクたち、幼なじみなんだもん。
兄弟みたいなもんだよぉ」
元気よく、リュウは答える。
(兄弟?どっちが、兄なんだ?)
ヘヘッと笑うリュウを見ると、何だかそれでもいいかぁ~
という気持ちになってくる。
「リュウは、最初っから、リュウタのことは怖くなかったの?」
相手は竜だ。
どうやって、出会ったのだろう…
何となく、興味をひかれた。
「ボク…リュウタの卵を見つけたんだ」
いきなりリュウが言う。
「えぇ?」
タマゴ?
「ねぇ、竜って、卵から生まれるの?」
そもそもそんなもの、見たことも、聞いたこともない。
「そんなの、当たり前だろ?」
ははは…と、リュウが笑う。
「ユウタは、バカだなぁ。
だって、卵を温めていたら…生まれたのが、竜だったんだもん」
得意そうに、リュウが言う。
へぇ~
それならば、お兄ちゃんというよりも、母さんじゃあないかぁ。
(ムツゴロウさんだったら、どうするのだろう?)
何だか裕太は、おかしくなってきた。