「そんなところで、何をしているの?」
またも声がする。
ヒェッ!
思わずアキは、変な声がのどの奥から漏れてくる。
まさか、もう…見つかるなんて!
アキは、カガリと目を見合わせる。
カガリは真っ青な顔をして、すっかり縮みあがっている。
(こんな時に…ケイタがいたら…)
アキは、ふとそう思うけれども。
自分たちは、そのケイタを助けに来たんだ、と心細く感じる。
「わ、わたしたちは…友達を助けに来たのよ」
どうにかこうにか、勇気を振り絞って、グッと目に力をこめる。
だが、情けないことに、手の震えを止められない。
「ともだち?」
その人は、不思議そうに声を出すと、フフッと笑い声を立てる。
「そうかぁ~その友達、きっと氷の女王に気に入られたんだね」
鈴を振るような、透明な声でそう言う。
「えっ?」
アキは、カガリと目を見合わせる。
声の主は、何者?
敵?それとも、味方?
こんな風に、のん気に話をしていても、大丈夫なのだろうか?
すると、何もなかった廊下に、フワッと白いものが降り立つ。
(えっ?なに?)
二人は再び、体を引っ付けて固まる。
その白いものが…じわじわと、人の形になってきた。