「いや、だけど、このまんまだと、一歩も進めないんだろ?
だったら、思い切って探してみれば、いいじゃないか」
ブスッとした顔のまま、リュウは裕太に向かってそう言う。
「なぁ、それくらいは出来るだろ?」
リュウは、ドローンに向かって話しかける。
「えっ?まぁ…やってみないと、何とも言えないけど」
まるでうなだれるように、ドローンが急降下してくる。
「じゃあ、やってみよう」
簡単なことだろ、とリュウがそう言い放つ。
「ジュンペイ…頼んだよ」
とにかく、試してみるしかない。
「ところでジュンペイ、今、この近くにいるの?」
一応確かめるように言う。
「うーん、裕太たちのことは見えているけど…
ちょっと、離れているかもなぁ」
何だか、あいまいな答えが返ってくる。
自信のなさそうな、その言い方…
全然ジュンペイらしくないなぁ~
その時ふと、裕太の頭の中で、おかしいとひらめく。
(本当に、ジュンペイなのか?)
初めて疑問が浮かぶ。
(まぁ、小学生のボクをだましても、何の得にも
ならないけどなぁ)
すぐに裕太は、思い直す。
「じゃあ、とにかく、やってみるよ」
ジュンペイの声をかき消すように、ブーンとドローンが
勢いよく舞い上がる。
「ねぇ、どっちの方向へ、行ったらいい?」
早速ジュンペイの声が、質問してきた。