「いいから、いいから」

 アキは、カガリにそっとささやく。

「アリス…さん、ですか?」

その人は、疑いのまなざしを向ける。

 

「あの…マダム!ちょっと、よろしいですか?」

 白いエプロンを身に着けた女性が、奥の方から声をかける。

「あっ、ちょっと、待って」

マダムと呼ばれたその人は、奥に声をかける。

「あなたたちは、ここでお待ちください。

 ちょっと、確かめてきますので…」

女の人はそう言うと、扉の向こうに引っ込んだ。

 

 アキはニヤリと笑って、カゴをドアから引っこ抜くと、

カガリに「はい」と手渡す。

「さぁ、中に入って」

当たり前の顔をして、三人に声をかける。

「えっ」

「勝手に入っていいの?」

カガリとユウジが、目をキョロキョロとさせると、

「いいから、早く!」

グィッと、カガリの腕を引っ張った。

「えっ」

思ったよりも強く引っ張られて、カガリは中に転がり込む。

「カガリ、大丈夫か?」

あわててユウジが、身体を支える。

「うん、大丈夫」

 あらためて中をのぞき込むと、すぐ近くのドアから声が聞こえる。

アキはグッと、カガリの手を引っ張ると、

「さぁ、今がチャンスよ!中に入りましょ」

そうささやく。

 

「えっ」

「静かに、見つかる」

 あわててカガリの口を、手で覆う。

アキはショータをチラリと見ると、ショータはすぐに察したようで、

黙ってうなづいている。

「足音をたてないで、行くわよ」

小声でささやくと、

「ナイトは、もし私達が見つかっても、女王様の所へ連れて行く、

 と言ってね」

つじつまを合わせるように、と声をかけた。

 

 

 

 

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