「えっ?」
「どこ?」
キョロキョロと四人は、声の主を探す。
いつの間にか、風景は…おしゃれな店の並ぶ通りに変わっている。
太陽の光の射し込む、店のショーウィンドーから、その声は
聞こえてきた。
「どう?ここ…気に入った?」
そう聞いてきたのは、ノワールだ。
飾り窓の中で、日向ぼっこをして、くつろいだ姿でこちらを見ている。
「気に入るも何も…何だかヘンよ、ここ!」
アキがリンとした声を放つ。
「へぇ~そう?」
ノワールは、緑色の目を見開くと、カフに向かって
「どう思う?」と聞く。
「さぁ?」
カフは相変わらず、薄ら笑いを浮かべている。
カフとノワールが、話をしているのを見ていると、
まるでジブリの映画の中にいるみたいだ…
と、カガリはひそかに、そう思う。
「あのおじいさんは、どこ?」
まるで、さっきまで一緒にいるのを見ていたかのように、
ノワールがアキに尋ねる
ユウジが「ゼペットさんは…」と言いかける。
それを遮るように、
「さぁ?はぐれちゃったの」
わざとアキは、ごまかすように言う。
「えっ…」
ユウジは正直者なので、隠し事は苦手だ。
アキが『ちょっと』と肘で小突くと、ユウジはあわてて
「あぁ、まぁ、そうなんだ」
にわか付の大根役者のように、ぎこちなくうなづく。
(ばれる、ばれる!
もう、ユウジってば…余計なことを、話さないでよ)
内心ヒヤヒヤしながら、アキはユウジをにらみつけた。