先ほどの光は、ここからは見えない。
本当に、ここからなのだか、見ただけではわからない。
だけど…ジンさんが一緒だから、大丈夫だろう…
そう、裕太は信じようとする。
大きな岩と岩の間を、すり抜けて行くと、ポッカリとすき間が
口を開けている。
「あの光は、どこ?」
耳を澄ませてみる。
さっきまで聞こえていた音は…ここでは聞こえてはこない。
「うーん」
ジンさんは、ポッカリと開いた空間を、じぃっとにらめっこしている。
「たぶん…この先に、水場があるはずなんだけど…」
おかしいなぁと、見回している。
ジンさんが、辺りを付けたのは、この辺なのだろうか?
タツさんが、リュウをヒョイっと持ち上げると、
「たぶん、この裏側だと思いますよ」
まるで、道路の曲がり角を間違えたみたいな、言い方をする。
「ふーん、なるほど」
ジンさんは、タツさんのことを、一目置いているようだ。
素直にうなづくと、
「そうだな、ありがとう」
あっさりと受け入れ、ニッコリと微笑む。
へへへ…
リュウは嬉しそうに、パンパンとタツさんの肩を叩く。
「裏側?」
地下に、そんな所が、本当にあるのだろうか?
裕太が不思議に思っていると、
「こういう洞窟は、入り組んでいるから、冒険家の人も、
方位磁石が使い物にならなくて、迷うそうなんだよ」
とても冷静な顔つきで、ジンさんが裕太に向かってそう言う。