じいちゃんは何やら…古文書とか、昔の地図とかを集めるのが趣味のようだ。
(帰ったら、聞くしかないかなぁ)
そう思っていると…
急にパァッと、辺り一面がカラフルな色彩に彩られているのが見える。
「うわぁ~、すごい」
思わず裕太が、声をもらす。
「ね、そうでしょ?すごいでしょ?」
リュウは嬉しそうに、はしゃいだ声を上げる。
まるで、スペインにある有名な広場みたいに、モザイクタイルで幾何学模様を
形成している。
「ねぇ、あれはなぁに?どうなっているの?」
裕太は思わず、すぐ側にいるタツさんを見上げる。
タツさんは「さぁ」と肩をすくめると、
「昔の人の考えることは、まだまだわからないことだらけだからねぇ」
にこやかに微笑む。
ここだけが、知らない世界にいるようだ。
トルコとか、スペインとか…
裕太の行ったことのない国の風景が、目の前に迫っているように感じる。
「お風呂みたいでしょ」
なぜかリュウは、ケラケラと笑う。
「え~っ」
こんなきれいなタイルの壁のことを、お風呂のタイルと一緒にしないでくれよ!
裕太は正直、そう思いはしたものの…
確かにこの華やかさは、そんなものは非ではない。
(リュウはまだ、小さいからなぁ)
そう自分に言い訳をする。
「これって、特別な部屋なのかなぁ~
何だか、大切なお客さんを、迎えるような部屋とか?」
裕太がひとり言のように、そうもらした。