ゼペットさんは早口で、アキたちの顔を見比べる。
「え~っ、じゃあボクたち…どうしたらいいの?」
ユウジが心細そうな顔をして、ゼペットさんに聞く。
ゼペットさんの言うことが、本当ならば、自分たちの運命も…
そのさらわれた子供たちと同じ、ということになる。
急にシュンとするユウジを見ると、
「大丈夫だよ」
ゼペットさんは、優しい声を出す。
「言っただろ?
私は…キミたちを危険な目にあわせないためにいるんだ。
必ず無事に、送り届けるから、心配しなくてもいい」
ニコニコしながら、そう言う。
ふいに、門の外が騒がしくなってきた。
「やばい」
ゼペットさんは、焦ったように辺りを見回す。
「どうやら、キツネが気付いたようだ」
アキたちの背中を、トントンと押す。
わずかに声が聞こえるけれど…この中にいるのは、気づいては
いないようだ。
「大丈夫、ヤツはこの中には入って来れない」
ピンと背筋を伸ばして、ゼペットさんはそう言う。
「ちょっと、こっちへ」
目が慣れてくると、所々に扉があるのが目に入る。
「このまま、ここから出て行くのなら…
この非常口を通ればいい。
でも…まだここで粘るのなら、こっちのドアを出るんだ」
まるで普通の建物のように、よく目にする緑色の非常灯が
あるので、何だか思わず笑いたくなる。
「でも…そうじゃなく、他の子供を探しに行くのなら…
この、張りぼての扉を抜けるんだ」
本物のテーマパークではない、というのに、ずいぶんと
しっかりとした、本格的な造りをしている。