「ピノキオみたいに…ここのどこかに、いるんですね?」
もしかして…ケイタみたいに?
そんな風に考えると、さっき会った子供たちの中にも、
混ざっているのかもしれない…
「まさか、ピノキオも、さらわれて来た子供?」
思わずユウジが、唾を飛ばす勢いで、ゼペットさんに聞く。
あはは!
ゼペットさんは、白い眉毛をふぅっと緩めると
「ピノキオは、正真正銘、私の作った人形だ。
さすがにまだ…ロバになって、捕まえられてはいないと思うがな」
キッパリとそう言い切る。
「あっ、そうかぁ」
すっかり忘れていたが、ここはピノキオのいる世界だ。
「この塔は、まさかジョーカーたちは、いませんよねぇ?」
こんな話を、聞かれてはまずい…
アキは、辺りを見回す。
「あぁ、それは大丈夫だ。
ここは、シールドが張られているから、魔界の者たちは、
入って来られないんだ」
ゼペットさんは、事務的にそう言う。
そんなことを聞くと、この人は本当に、あのゼペットじいさんなのか、
と思う。
ピノキオでおなじみの、あのおじいさんが…まるで地下組織にいる、
テロリストのようなことをしているなんて…
何だか得体の知れない別人のような気がして、アキは思わずゾクッと
鳥肌の立つのを覚えた。
「ジョーカーって、何人もいるの?」
ふいに、カガリが口をはさむ。
ゼペットさんは、へっ?という顔をすると、
「あぁ~ジョーカーというのは、便宜上の呼び名で、まぁ
コードネームみたいなものだ」
何だか、映画の世界のようなことを言う。
「へぇ~まるで、トランプみたいだ」
ショータがにぃっと笑う。
「えっ?映画のジョーカーじゃなく?」
ユウジが、素っ頓狂な声を出した。