「私達は…カボチャ畑のある屋敷の方から来ました」
どうにか態勢を立て直すと、あらためてアキが口を開く。
このおじいさん…あのお化け屋敷のことを、知っているのかしら?
そうアキが思っていると…
老人は「なるほど」とつぶやくと、
「キミたち…もしかして、ここに呼ばれて来たんだね」
四人の顔を見比べると、そう言う。
「驚かないの?」
思わずカガリが、口をはさむ。
こんなこと…すんなり受け入れてくれるとは、思えなかったからだ。
だが老人は
「なんで?」とまっすぐに、カガリを見る。
「キミは…うちのピノキオと違って、賢そうだなぁ」
「そんなことは…」
カガリは何と、返事をしていいのか、わからなかったので、
落ち着きなく目をキョロキョロとさせる。
ゼペットじいさんは、この不思議な塔の中を見回す。
「ここは…色んな子供たちが、やって来るんだ」
誰にともなしに、つぶやく。
なだれのように飛び込んで、扉を閉めてしまったものの…
まるで何事もないように、シーンと静まり返っている。
すぐに、扉を壊されるかと思ったのに、そんなことは今にところ、
見受けられない。
(あれっ?)
アキはすぐに、気が付く。
ショータを振り返ると、無言でうなづいている。
一緒に飛び込んだ子供たちの姿も、今はもう見えない。
「えっ、なんで?」
ユウジだけは、何があったのか理解が出来ないようで、
ポカンとしている。
「そうなんだ」
意味あり気にうなづく。
「えっ?どういうこと?」
みんなが落ち着いているのを見て、さらにユウジは目をキョロキョロと
させる。
「ここはね、ボーダーラインなんだ」
ゼペットじいさんは、ポンとさり気なくそう言った。