(女のカンって…ホント、おっかないなぁ~)
「いや、逆に…こっちの方が聞きたいくらいだ」
追い詰められて、ついに宗太郎は白状する。
「それって、ホント?」
本当に、隠し立てはしていないでしょうね?
と、まるで警察なみの尋問を受けて、ついに宗太郎は白旗を上げる。
「そっ、わかった、じゃあ…探しに行きましょ」
結局は、いつもの神社の境内で落ち合って、あのお化け屋敷に
向かった。
「実は…まったくリョウくんと、連絡が取れなくて」
清子が先に、打ち明ける。
「何かあったんじゃあないの?」
まるで隠し事を、宗太郎がしているのが悪い…と、なじられて
いるようだ。
「え~っ、清子もか?」
自分たちだけでなくて、まるで自分の存在自体をすべて消すように…
何も告げずにいなくなってしまった。
だがすぐに、宗太郎はあきらめたようにため息をつく。
「どうやら、誰にも言わずに、転校したのかもね」
本当に、水臭いわねぇ~
清子は、モヤモヤを宗太郎に向ける。
それでも二人で、あの家に向かうと…
あの日来た時よりも、さらにうっそうとして、荒れ果てているように
見える。
しかも、人の気配が、まったくしてこない。
試しに、ドアに手をかける。
やはり、鍵がかかっていて、中には入れない。
「まさか…本当に、いなくなってしまったのか…」
いたたまれない気持になり、宗太郎は呆然と立ち尽くす。
「なんで、そこまでしないと、いけないのかなぁ」
ポツリとため息をつく。
「私達って…リョウくんにとって、何だったんだろうね?」
寂しそうに、清子がつぶやく。
「友達じゃあ…なかったのかなぁ」
そう言われて初めて…宗太郎は、神林君の本当の住所も、連絡先も
何ひとつ知らないことに気が付く。
「それは、私もだわ」
はぁ~とため息をつくと
「私達のことも…信用してなかったのかしら?」
ひどく傷ついたような目で、宗太郎を見る。
「ボクに対しては、わからないけど…
清子のことは、大切に思っていたと思うよ」
宗太郎は、清子を励ますように言う。
結局…彼には、何ひとつ、本音を話してもらえなかった。
「リョウくん…ここへ、何しに来たのかしらねぇ」
清子は寂しそうに、そうつぶやいた。