あの『お兄さん』が、他の子供たちと一緒に、宗太郎を逃がしてくれた…
というのを覚えている。
(そう言えば…あのお兄さん、ひどく怒られていたよなぁ~)
そのお兄さんは、宗太郎にそっと教えてくれた。
(青い線というんだ。
そして、今日のことは…全部忘れるんだ、と…)
あのお兄さんは、約束通り、本当に助けてくれたのだ。
そして…
宗太郎は、ギュッと目をつむる。
『あの子は、”あの出来事”のせいで、心に大きな傷を負っています。
すぐにでも、救って上げないと、とんでもないことになります』
と、宗太郎の両親に言っているのを、見たのだった。
「先生!」
いきなり、宗太郎は声を上げる。
確かに、ボクは…先生のことを知っていた…
高梨先生は、じぃっと宗太郎に視線を向ける。
「なんだ、いきなり」
そう言うけれど…少しも怒ってはいなかった。
「思い出したのか?」
そうポンと言うので、先生はすべてを理解しているのだ、と悟る。
「あのお兄さんって…先生だったんですね?」
今までは、無表情だった先生が、目を大きく見開くと、宗太郎から
目をそらす。
「ついに…この時がきたのか」
思ったよりも、早かったなぁとつぶやく。
「えっ、なに?何があるんですか?」
まったく事情が呑み込めない清子は、先生と宗太郎を見比べる。
「お兄さんって…だれ?」
そう聞き返すので、宗太郎は清子の方を向く。
「ねぇ~覚えてる?」
突然、切り返してきた。
