この場所が、何のためにあるのだろう?
裕太はとても、奇妙に思う。
さすがに、リュウの正体が、この銅像だった、というわけではないだろうが。
「とってもよく、似ているなぁ」
裕太がつぶやく。
「そうだな」
ジュンペイは、これには賛成のようだ。
「今にも、動き出しそう」
珍しく、二人の意見が一致する。
「でも、なんだ?
ここは、リュウを閉じ込めているわけではないよな?」
さっきリュウは、そんなことはひと言も言ってはいなかった。
「どうなんだろ?
ここに住んでいる…とは、言ってたけど?」
タイミング的にもそうだ。
「確かに。じゃあ、どこにいるんだろう?」
先程から、2人はリュウにそっくりな像に周りを、うろついている。
するとかすかに…どこかで、足音が聞こえてくる。
「ジュンペイ?」
「シッ!」
裕太が声をかけると、すぐさまジュンペイに注意をされる。
(やっぱり、何か…聞こえた、のか?)
ササッと裕太の腕を引っ張ると、ジュンペイは柱の陰に
身をひそめる。
『なに?』
口だけをパクパクさせて、裕太が聞く。
ジュンペイは、ジェスチャーで、
(いいから、静かに!)と裕太に向かって合図する。
『誰か、来たのか?
それは、敵なのか?味方なのか?』
もっとも、どっちでもない、というのもあり得るけれども。
『もしかして、地底人?』
いきなり裕太の頭の中で、そんなことがポワンと思い浮かぶ。
(そんな…アニメや、ドラマでもあるまいし)
まさかね、と裕太はひそかに頭を振った。