どうしてこの子は…こんなに落ち着いていられるのだろう?
怖くはないのだろうか?
(やっぱり…この子は、普通の子供ではないのだろうか?)
裕太はじぃっと、リュウを見つめる。
「平気だよぉ~
だって、ボク…ここに住んでいるんだもん」
リュウは、キッパリとそう言う。
「ここに?」
ここって、まさか…クスノキの中?
いや、それはないだろう。
それとも、神社か?
(まさか、迷子とか?)
どちらにしても、このままでいいわけがない。
裕太は唖然として、リュウから目が離せない。
「キミって、神社の子?」
それも、今ひとつ、ピンとはこない。
何しろここは…昔のことは知らないけれど、
神主さんとかもいなくて、普段は、誰もいない…無人の状態だ。
時々人が、草木の手入れをしに来たり、掃除をしたりしている。
お祭りとか、必要な行事の時には、どこからか呼んでいるようだ。
さすがに…リュウのような子供には、それが出来るとは、到底
考えられない。
そんな裕太の物思いを、笑い飛ばすように、
「ねぇねぇ、神社の子って、なに?
ボクはここに、住んでいるだけだよ」
それ以上は説明せずに、ただ同じことを繰り返すだけだ。
本当に…そんなことが、可能なのだろうか?
(何だか、変だ…)
裕太は、ジュンペイを目で探す。
(そんなことって、本当にあるのか?)
ボンヤリとしていると…
「ボク、聞いたことがある!」
そこにはいないはずの、ジュンペイの声が聞こえてきた。