放っとけばいいのに…と宗太郎は思うのだが、
清子には、そんな頭がないのだろう。
「ね、ソータロー」
さらに話しかけてくるので、
「ま、そうだな」
答えないわけにはいかない。
おじいさんの介護をするために、ここに来た…
と、確か龍友は言っていた。
それならば、それまでは、どこにいたのだろう?
ふと宗太郎は思うけれど…
「ここの住み心地はどうだ?」
さらにオジサンが聞いてくるので…
「別にいいだろ」
素っ気なくそう言うと、神林君はソッポを向いた。
(よほど、何かがあったんだなぁ)
何となく、宗太郎はそう思う。
神林君は、意味もなく人を嫌ったりするタイプではないはずだ…
そう思ったからだ。
「で、その隠し部屋…何か関係があるのか?」
相変わらず、神林君がブスッとした口調でそう聞くと
「それが、あるんだよぉ」
よく聞いてくれました、とばかりに、オジサンはニヤニヤとしてそう言う。
「へぇ?」
清子も前のめりになって、聞いて来る。
興味津々の2人に反して、神林君は相変わらず知らぬ存ぜぬを貫き通している。
「なぁ、どう思う?」
その反応を楽しむように、オジサンが神林君に聞く。
「どう思うって…」
何で自分に聞くんだ、という、ちょっと眉をひそめてオジサンを見る。
「そりゃあ、何か…人に見られたらマズイものでも、隠していたんじゃあ
ないのか?」
さして興味なさそうに、オジサンは熱のこもらない口調でそう言った。