ランタンの灯りが、ユラユラと揺れている。
いずれ、このランタンも消えてしまうだろう。
完全に真っ暗になると、戻ることも難しくなるので、
「じゃあ、タイムリミットを決めておかないとな」
残念なことだけれど、ついに裕太がそう言う。
「それもそうだな」
ジュンペイの懐中電灯だって、いつ電池切れを起こすのか
しれない…
「じゃあ、ダラダラしても意味がないから、あと30分で区切ろうか」
もっとも裕太は時計を持っていないので、体内時計に頼るしかないけれども。
とはいえ、そうやって時間を区切られてしまうと、何とか効率よく
探さなければ…と思ってしまう。
「焦らなくても、いいんだ。
だって、ここにあると決まったわけではないんだから」
ジュンペイがそう言うけれど…
なぜだか裕太は、どうにかして見つけたい…と強く思う。
かすかにヒュウヒュウと、風の音が聞こえる。
おそらくどこかに、外に繋がる穴があるのだろう。
裕太は耳をすます。
洞窟の中は、音が反響するので、明後日の方向であっても、
近くに感じてしまうことも多々ある。
指先をわずかに湿らせると、軽く指を立てて、少しでも
風を感じないか…と裕太は思う。
するといきなりブワッと、生暖かい風を感じる。
「なに?」
裕太は思わず上を見上げる。
すると黒い影が、上を横切ったように感じた。