階段を下りると、ワイン蔵のようになっていて、おそらくここが

食料の貯蔵庫も兼ねていたのだろう。

少しヒンヤリとしている。

「何にもないねぇ」

さすがにガランとした棚が、壁一面に並んでいて、

やはりここにはもう、人が住んでいないのだなぁ~と思わされた。

「まぁねぇ~今はボクだけしか、いないしねぇ」

何気なく言ったそのひと言に、宗太郎はあれっと思う。

 

(ここには、住んでいない…と言ってなかったっけ?)

 清子は気付いただろうか?

ふと疑問に思う宗太郎だが、あえて何も言わない。

神林くんは、じぃっと宗太郎の顏を見ていたけれど…

「まぁ、色々と込み入った事情があるんだ」

とだけ、付け加えた。

「込み入った事情?

 それって、なんだ?」

挑発するような口調で、宗太郎は神林君に相対する。

「ふぅーん、キミって案外、心臓が強いんだなぁ」

彼はそれには答えずに、宗太郎をじぃっと見詰める。

「まぁねぇ~いわゆる、遺産相続の問題みたいな?」

茶化すような口ぶりで、神林くんは宗太郎に向かって言う。

「イサンソーゾク?」

 それって、この家のことか?

思わず地下室のガランとした、空間を見回した。

こんな…ちょっと手を加えたとはいえ、人里離れたこの古い廃屋に…

目をつける人など、いないはずなのだが…

そう宗太郎は考えていた。

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ