「古屋敷~おまえ、彼女がいるんだな」
翌日、いつものように学校へ行くと、校門のところで、早速
委員長に声をかけられた。
「えっ」
「中々、お似合いだったぞぉ」
ニヤニヤしながら、彼は取り巻きたちと、宗太郎の周りをサッと
取り囲んだ。
まさか…見られたのか?
誰もいない…と思っていたのに、
(油断したなぁ~)
宗太郎は、何を言えばいいのか…と、あわてて考え込む。
「ソータローくぅーん、お安くないねぇ」
委員長が、宗太郎の肩に手を置くと、顔をぐぃっと近付ける。
「モテ男のソータロー君に、折り入って頼みがあるんだけどぉ~
聞いてもらえるかなぁ」
新たなオモチャを見つけた、とばかりに、彼は眼を光らせて、
宗太郎の顔を見つめる。
「いや、ボクは何も…」
まずいヤツに、つかまったなぁ~と宗太郎は目で、逃げ道を探す。
校門には、学生たちが彼らを避けるようにして、中に入って行く。
助けを求めるようにして、同級生たちに視線を向けるけれど…
あわてて目をそらして、そそくさと足早に通り過ぎる。
「ダメだよ、逃げちゃ!
そんなことをしても、ムダだよ」
取り巻きの一人が、宗太郎の肩をつかむ。
「何を怖がっているの?
ボクたち…友達だよなぁ?」
違う…と言いたいのだが、周りの目もあって、言えない。
先生たちも、不審そうにこちらを見ている。
「そんな顔をするなよ、誤解されるだろ?」
委員長がそう言った時…
「ちょっと…堂々と朝っぱら、イジメはよくないなぁ」
いきなり声がした。