「ソウさん!」
なんで、ここにいるのか?
どうして、止めるのか?
彼のらしからぬ行動に、恭介は言葉をなくす。
「困ったものだ…」
だが犬井さんはため息をつくだけで、止めようともしない。
「いいんですか?」
とがめるように、恭介が聞く。
犬井さんは頭を振って、
「アイツにも、わかっているはずだ」
そう淡々と言うだけだ。
(いいのか?それで…)
恭介は戸惑っている。
「どけろ!」
ブルトーザーに乗っていた男が、ソウさんに向かって怒鳴る。
石くれだらけの白い土埃の立ち込める中に…
まるで幻のように、うっすらと何かが立ち上っている。
(えっ?)
一体、どういうことなんだ?
恭介は目をこする。
ボンヤリと、視界が煙っている中で…
何かが形をなしていく。
(あれは、なんだ?)
恭介は思わず、一歩、また一歩と近付こうとする。
すると…思いがけないことが起こった。
恭介の手の中で、オルゴールが、クルクルと回り始める。
まるで生きているバレリーナのように、
自分の意志を持って、動いているように見えた。
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