(あっ、そうだ)

 恭介は手のひらを開く。

無意識にずっと握り締めていたので、かなりクシャクシャだ。

(どういう風に、渡せばいいのだろう?)

 恭介は再び考え込む。

(まさか…ユーレイに頼まれました、何て言えないよなぁ)

 彼は…知っているのだろうか?

あの廃墟には、魂が宿っている、ということを…

(あなたの奥さんも、あそこにいるんですよ)

そう教えてあげたい…と思うのに、中々言葉にすることが出来なかった。

 

「あっ、あのぉ~手紙を預かってきました」

 さすがに渡さないわけにはいかない。

「手紙?」

ソウさんがけげんな顔をするけれど、恭介は無言で、その封筒を押し付ける

ようにして渡した。

「えっ」

どう反応していいのか、彼はわからないらしい。

「あの…読んであげてください」

どういう事情であれ、開いてくれと思う。

「あっ?あぁ」

彼はまるで珍しいものを見るように、その白い封筒を裏返したり、

表にしたりして、何事か考え込んでいる。

「キミ…どこでこれを?」

だが、まだ中をのぞこうとはしない。

「拾ったんです」

とっさに恭介は…ウソをついた。

 

ふぅーん

 ソウさんは、封筒と恭介を見比べる。

なんで彼が、それを持っているのか…と疑っているのだ。

だが…まさか、山下さんから頼まれたんです…とは言えない。

(おそらく、彼女は亡者だ…)

何とかうまく言えないものだろうか…と考えていた。

 

 

 

 

 

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