(この人…ソウさんのこと、なんでも知ってるんだなぁ)
もしかして、これも田舎あるあるなのかなぁ~と思う。
やたらと同じ町内の人のことが、詳しかったり、どこそこの息子が…とか?
だから、そういうものなのか、と納得していた。
「ソウさんとあの人は、幼なじみ同士で、よくあそこの庭で遊んだものだよ。
私はてっきり、ソウさんがあの子と一緒になる、と思っていたのに…」
ボソボソと老人が、問わず語りで話し始めるけれど…
それって、誰の事だ?
何だか知らない話に、すり替わっていた。
(ソウさんと、あの人って?写真の彼女のことか?)
ひそかに恭介は、そう思う。
「それにしても、羨ましい話だよなぁ。
初恋を実らせたんだから!」
さらに老人が重ねて言う。
初恋?
「えっ、そうなんですか?」
思わず声をあげていた。
(ソウさん…そこまでは、言ってなかったなぁ)
さすがに、赤の他人の自分に、そこまで話すわけ、ないかぁ~
などとそう思う。
「さぁて、行きますかぁ」
チャリンと鍵の束を、手のひらの上で転がす。
「ここは、何年も使われていないから、かなり傷んでいるんだ。
足元には、気を付けるんだぞ」
恭介に向かって、声をかける。
老人と待ち合わせた分岐点から…さらに林の中を突き進んでいく。
まるでどこかの山の中を歩いているようだ…
そう思いながらも、黙って歩いて行くと、フワフワと老人に寄り添うように、
いつの間にか白い光が、彼を追いかけるようにして、ついて来ていた。
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