「あの、はじめまして」

 ペコリと恭介が頭を下げると、無言でじぃっと2人を見ている。

「おいおい、ソウさん!

 そんな顔をしたら、この人たちが、驚くだろう?」

確かになめし皮のように、濃い肌と、分厚い眉毛の下に、やや険しい

まなざしが、こちらを見据えている。

まるで自分は、だまされないぞ、とかまえているようだ。

 だが老人は、相変わらず穏やかな顔つきで、眼が合うと

にこやかに微笑む。

(この状況…大丈夫か?)

恭介は不安になる。

どう見ても、怪しい人物として、警戒されているようだ。

詐欺師か、土地のブローカーを見るような目付きなので、

自分達は、歓迎されるどころか、厄介者に思われているのでは、

と気付いた。

何だかいたたまれない気持ちだ。

 

「あの、やっぱり、出直します」

ペコリと頭を下げると、「行くぞ」と言い、さっさと車の方に

戻ろうと背を向けた。

「あんた…もしかして、あれを見たか?」

 先ほどまで、無言で眉をしかめていた男が、いきなり恭介に向かって

口を開く。

「えっ?」

なんのことだ…?

恭介はキョトンと、目をしばたたかせた。

橋本に至っては、何が何だかわからない…という顔で、

眉をへの字にさせている。

「あれだよ、あれ」

だが男が、じれたように繰り返す。

(あれって、なんだ?)

一生懸命思い出そうとした。

 

 

 

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