すっかり重くなった荷物をかかえて、彼は自分の部屋へと向かう…

(しまった!買いすぎたかぁ)

両手に袋をぶら下げると、それでもスタスタと歩いて行く。

まだ…空が明るい。

何だか久しぶりだ…

まるで遠足に行く子供のように、心がはずんでいる。

(あれ?おかしいな! 

 嫌な仕事のはずなのにな)

それはきっと…同期の橋本のお陰だ…

恭介はあらためて、彼のことをありがたく思う。

こんなボロボロの自分のために、ここまで気を使ってくれるなんて…

「せめて今度、アイツを誘って、飲みに行こう」

そう思う。

 

 足取り軽く歩いていると…じきに古びたアパートが、目に入った。

(こんなトコで、よくアイツが一緒に、暮らしてたなぁ~)

今までに感じていなかったことに、あらためて彼は気付く。

今ならば…突然出て行った彼女のことを、許せそうな気がした。

 ポストをのぞき…DMと新聞を取って、トントントン…と

階段を上がる。

今の自分には、このボロいアパートが、お似合いだ…

自嘲気味に、彼はそう思う。

(あれ?)

彼は異変に気が付いた。

窓が…あいてる?

(開けっ放しで出たっけ?

 不用心だなぁ)

そう思いつつも、

(まぁ、うちは…盗られるものが何もないし、ドロボーも同情して、

 置いて行くんじゃあないか?)

そうだといいなぁ~

思わずニヤニヤとした。

 

 

 

 

 

daisysackyのmy Pick

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ノンジャンル小説へ