「実はね、週に何回か…来るんですって!」
この行列を見ないと、にわかには信じられないことだけれど…
実際に見ると、大家さんの占いの評判がどのくらいなのか、実感するのだった。
それを聞くと、エラの心がざわつく。
このまま、ここにいてもいいのだろうか?
それとも一刻も早く、元の世界に帰る方がいいのだろうか?と…
ならば戻るためには、今度はもっときちんと、占って欲しい…
生まれて初めて、エラは希望を持ったのだ。
カスミはチラリとエラを見ると、
「大丈夫。また今度会った時に、みてもらえばいいわ!」
並んでいる人たちを、目で追いながら、カスミは穏やかな笑顔で言った。
「ね、今度見学に行こうか?」
カスミはエラの視線の先に気が付くと、にこやかに話しかける。
先ほどはうさんくさい人たち…と思っていたので、撤回しないといけないな、と思う。
「ホントに、占いの通りにいくといいわね」
カスミはエラをチラリと見ると、ゆっくりと微笑む。
「ちなみにね、あの家…通称、魔女の館と呼ばれているそうよ」
なんだって、そう言うのかしら…と、カスミは笑いながら言う。
「魔女の館?」
戸惑うように頭をかしげるエラを見て、カスミは大きくうなづく。
それから後ろを振り返ると、バラバラだった人の群れも、いつの間にかきれいな1列に
並び始め、整然と前に進んで行く。
「そうなの。魔女が住む家だからってね!」
意味あり気に言うので、
「じゃ、私たちも、魔女の仲間ってこと?」
奇妙に思い、エラがカスミに言い返すと
「そっかぁ~そうなるよねぇ」
驚いたように、カスミは目を丸くしてエラを見る。
どうやら、考えたことがなかったようだ。
「そう言われれば、そうよねぇ」
今さらのように、感じ入った様子で、カスミがつぶやくので、
自分はおかしなことを、言っているわけではないのだ…と、
エラは少しだけホッとするのだった。
