すると案の定、男はキョトンとした顔になり

「なに?レラ?」と言う。

「エラ!」

「ヘラ?」

「エラ!」

「ハラ?」

「…シンデレラ!」

 何回も聞き間違えられて、エラは少しイライラする。

するとエラがかなりムキになって言い返すので、圧倒されたのか、

男性は呆気にとられた顔をするけれど…

突然、プッ!と吹き出すと

「何言ってんの?いくら外国人だからって…

 それはないでしょう」

クスクスと笑う。

でもどうもちょっと腰が引けているようなので、もしかしたら少し頭のイカレタ女…と

思われたのでは、と気にかかる。

それでも男性はちょっと楽しそうに、

「ま、いいじゃないか。

 エラでも、シンデレラでも…」

案外軽く笑うと、話をそらそうとするので…

エラは心外に思うのだ。

エラの表情には、男性は気付かずに、

「だけどキミのこと…なんと呼べば、いいのかなぁ」

ため息まじりでそう言うと、エラは心の中で、

(だから、エラだってば!)と思うのだ。

男性は勝手にあれこれと考えると

「とりあえず…エミ、ということでいいかな?」

穏やかな目をして、エラに言う。

「エミ…?」

なんでだ、と思う。

「そう、エミ。聞き取りにくいしね。

 キミの名前は、ひとまずエミ。

 ボクの姪、ということにしておこう…」

そう言うと、満足そうに1人、うなづいた。

 

 それでもこのままではいけない…

男性はエラを助け起こすと、ようやく道の端っこへ連れて行く。

そんなに車の量は多くはないけれど、それでもなるべく安心な場所へ。

「こんな夜道に、女の子が1人でいたら、悪い男に連れ去られるかもしれないよ。

 それに、シンデレラだ、などと言ったら…

 きっと頭のおかしな女、と思われかねないから、言わない方がいい」

彼女に向かい、言い含めるようにすると、1人満足そうに、「うん」とうなづいた。

 

 

 


 

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