「えっ、どういうこと?」
またもわけがわからなくなり、頭が混乱してくる裕太だ。
そんな裕太を見るなり、瞳の奥をのぞき込むようにして、
「そうだよなぁ~ややこしいよね」
ヘラリと老人は笑うと、うーんと考え込む。
「風来坊と呼ばれた流れ者の男が、あの女の子と奥さんを殺したんだ」
ボソリと言うと、
「じゃあ、滝本が 殺したんじゃないんだぁ」
ホッとしたような、複雑な表情で裕太は言った。
「そう…ヤツは悪運が強くて、他の者の手引きで、すんでのところで逃げ出したのだ」
そう言うと、老人は静かな口調で、あの廃屋で起きた惨劇について、
語り始めた。
「あの時…裏切り者が内部にいたんだ。
私たちは、その男に…体よく利用されたのだ」
「それは誰?」
思わず裕太と颯太は、前のめりになる。
「それは…」
老人は言いよどむ。
さらに、じぃっと見つめる4つの瞳に…困ったように笑うと、
「君たちに、火の粉が降りかかるといけないから…それは、ちょっと…」
急に口ごもると、そのまま黙り込んだ。
3人は仲良く並んで、ホコラの側に座り込むと、お互いの真意をはかるように
互いの顔を見つめあう。
これからどうしたらいいのだろう?
次に何をしたらいいのだろう?
そして今、持っている物を、一体誰に渡したらいいというのだろう?
裕太は困って、リュックサックをギュッと抱きしめた。
「でも…教頭先生は、滝本には恩がある、と言っていましたよ」
思い出したように、颯太が切り出すと、
「あの人は…滝本を利用するだけ利用したんだ。
そうして 彼を…土壇場で、裏切ったんだ」とだけ言うと、
「もうそんな昔のことは、どうでもいいじゃないか」
深刻な顔をする2人に向かって、にこやかに笑ってみせた。
