「でも結局…あの家は見つからなかったよぉ」

 不満そうに、カイくんは口をとがらせます。

あの家とは、ケンタたちが迷い込んだあの不思議な家なのです。

 それでもケイさんは、別段気にする様子もなく、

「いいじゃない?新しい庭をまた、見つけたんだから」

取りなすように、あっさりと言いました。

「今度はね、みんなでピクニックが出来るように…

 ここでベンチを作って、居心地のよい庭を造るわ!」

 ウキウキとした口調で、ケイさんは言います。

それからケンタたちを見て、

「そう…あなたたちが見た、という家を作るのもいいかもね!

 ここをみんなで遊べるような、立派な公園を作って、

 みんなに開放されるのもいいかもねぇ」

 なんだかとても楽しそうに目を細めて、ニッコリと笑います。

そんなケイさんを見ると、

「それもいいかもしれないわねぇ」

 メアリーさんも、大きくうなづきます。

 

 気が付くと、あの女の子の姿は、いつの間にか見えなくなって

しまったけれど…

まだどこかで見ているような気がします。

あの女の子がいなくなっても、新しく見つけたこの庭は

まだここにあるのです。

折れたバラの枝からは、新しい葉が出て来て、花をつけてきて…

さらに荒れ果てた雑草の下からは、ラベンダーの花やハーブが

ビッシリと伸びてきているのが見えています。

それを見ると、ケイさんは微笑んで

「今度は私…ここを新しく作り直すわ!

 その時はみんなでまた見に来てね!」

キッパリとした口調で言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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