「一体 どういうことなんだ?

 どういうカラクリ?」

 いきなりの女の子の声に、すっかり取り乱すカイくん…

いつもは覚めた様子なのですが、鋭い声を上げると、

「カラクリも 何もないわ!見たままの通りよ」

すぐ近くに、その声が聞こえてきます。

「えっ」

引きつった声を上げると、一同はゆっくりと振り返ります。

するとバラの花壇の真ん中で…確かにあの女の子の姿が見えました。

しかも花の中に立ちつくし、笑いながら手を振っています。

「えっ?どういうトリックを使ったんだ?」

素っ頓狂な声で、カイくんが叫びます。

タタタタタタ…と駆け出すと、スクリーンか何か、映し出す物が

あるのではないか…と、辺りを走り回ります。

 

 そんなカイくんを見ると、女の子は目を丸くして、

クスクスと笑います。

めくらめっぽうに、カイくんは突進していくけれど、

まるで煙の中に映し出された画像のように、空を突き抜けて、

どこまで走っても、触れるどころか、かすりもしないのです。

「あーもぉ!

 一体、どうなっているんだよぉ」

思わず声を上げるけれど、

「わかってないなぁ」

鈴を振るような…高らかな声で、女の子はカイくんに向かって言います。

カイくんは「げっ!」と声を上げると、

「ユーレイがしゃべった!」

かん高い声で叫びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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