思わず口をすべらせて、あっと思うケンタです。
「女の子?」
すかさずけげんな顔で、カイくんが聞き返します。
つい、つられるように
「うん、女の子」
言った後で、しまった…とあわてて口をふさぎます。
けれどもしっかりと、タカシくんにもメアリーさんたちにも、
聞かれてしまいます。
なに、なに?
1同の注目に、焦るケンタですが、半ばヤケになり
「あの女の子…きっと、メアリーさんのこと、待ってたんだと思うよ」
観念したように言いました。
「なんだ、それ?」
真面目な顔で言うケンタに、ケラケラとカイくんは笑いだします。
カイくんはいつだって、自分の信じられること以外は、絶対に
信じないのです。
だからケンタの顏を見るなり、
「何を言ってるんだよぉ」
思いっきり、笑いだしました。
「あの女の子って、もしかして…」
カイくんをさえぎるようにして、ケイさんが口を開きます。
「それって…ナギコちゃんのこと?」
と聞くので、ケンタは聞きなれない名前に、ひどく戸惑います。
「ナギコちゃん…?」
えっ、と言葉を失います。
するとタカシくんが、
「そうだよ!その…ナギコちゃんだよ」
ケンタの代わりに、うなづきます。
ナギコちゃんといえば…さっき見かけたヌイグルミを添えられた
小さな墓石を思い出しました。
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