「ないね!」

 すかさずカイくんが答えます。

ケンタたちは黙って、2人のやり取りを聞いています。

ケンタ自身は…このところずっと、不思議な光を見ているので、

もちろん(オバケを)信じる気持ちになっています。

「あら!」

メアリーさんは、大きな目を開けて、カイくんを見ると

「おかしいわねぇ~」

不思議そうに、頭をかしげます。

「さっき、見たでしょ?

 私達をここまで連れて来てくれたのは…

 あれは、なに?」

あくまでも冷静な表情で、前方にある(もはや、ここにいる全員に見えている)

光を指差します。

「あれって…」

ぐぅっと言葉につまり、カイくんはクルリと ケンタたちの方を振り向きます。

「ねぇ、あれって、なに?」

まさか『知らない』と言えないのか、ケンタたちに答えを求めているようです。

そうは言っても、ケンタにもわからないのですが…

何と言って答えよう?と迷い、

「あれって…光のこと?」

すっとぼけた顏をして、ケンタは聞き返します。

「そうだよ!」

そう言いつつも、ポカンとした顔をして、不思議な光を見つめました。

 

 メアリーさんはそんな子供たちを見て、何だか楽しんでいる様子です。

ニコニコしながら、黙って見守ります。

「そうに決まってるじゃないかぁ」

じれったそうに、カイくんは口をとがらせます。

「あれってたぶん…女の子だよ!」

そう答えるつもりはないのに、思わずツルリと、飲み込んでいたはずの

言葉が、滑り落ちてきました。

 

 

 

 

 

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