もしかして、見えていないのか…
ケンタは思います。
誰も『光が…』とは言わないし、驚いた様子がないのです。
(どういうこと?)
そう思うけれど、口に出して言うと、みんなに『あいつ、どうした』と
気味悪がられそうな気がして、ここはグッとこらえて、
あえてそのことは、誰にも言わないことにしました。
それでもケンタには、わかっていました。
(あれは…あの子だ!)と。
あの不思議な女の子が、メアリーさんに会いに来ているのだ、
だけど、メアリーさんには、見えていないようだ…と。
(一体、なに?)
そう思うけれども…
その子は、別段、怖がらせよう、とか、
何か訴えよう、という様子もありません…
「ここから、抜け穴があったんだ!」
不意に、カイくんがメアリーさんに向かって、声をかけました。
先ほどまで、まるでキツネに化かされていたみたいに…
なんでここが、こんなに短時間で変わり果てたのか、
わけがわからない…と、ケンタたちは混乱しているけれども。
メアリーさんたちは、どうやら、そうではないようです。
だけども、この地下へとつながる階段を、見つけたとたん
(やっぱり、あるじゃないかぁ)
自分達の言うことが、正しい…と、確信したのです。
得意そうに言うカイくんに、
「そうなの?」とようやくメアリーさんが、ケンタたちに顔を向けました。
あるはずのない場所に、現れた…と、メアリーさんたちは、驚いたのです。
もしかして…あの夢物語は、本当なのか、と思い始めていました。