「それでね、どうしてメアリーさんの写真があそこにあったの?」
メアリーさんが落ち着いたところを見計らって、蒸し返すようにケンタが言うと、
「さぁ~?」
メアリーさんはおどけた調子で、目をクルリと回すと、手を広げます。
「私も、あの子がいなくなってから…すぐに引っ越したしね」
多くは語らないけれど、ポツンとそれだけ言うと、ニッコリと微笑みました。
タカシくんだけは、何かに気付いているみたいだけれども…
ケンタには、それが何かはわかりません。
トイレからカイくんが戻ってくると、
「あなたたち、お腹空いたでしょ?」
ニコニコしながら、メアリーさんが子供たちの方を見ます。
ケンタとタカシくんが、なんだかモジモジすると、
「うん!」
ひときわ大きな声で、カイくんがうなづきました。
「わかったわ!そうねぇ~何か 簡単なもの、持ってくるから、
ちょっと待っててね」
メアリーさんはそう言うと、さっと背中を向けました。
杖をつく後ろ姿は、まだ足を引こずっていて、痛々しい…
「やっぱり 足がまだ、痛いのかなぁ」
ケンタがタカシくんに、そぅっとささやきます。
いなくなったところを見計らって、
「そうみたいだね」
小さくタカシくんもうなづくと、リビングの大きなソファに、チョコンと
腰を下ろしました。
部屋の中を珍しそうに、キョロキョロと見回して、
「よく見ると…大きな家だなぁ」と言うと、
カイくんはいきなり走り出しました。
