ゴツゴツとした岩肌が、懐中電灯で照らしだされている。
崩れてきたりしないか、と裕太はそっと手で触って確かめる。
周りがところどころ、びっしりとコケで覆われていて、これはおそらく
昨日今日出来たものではないことは、確かだ。
だが…それでも、何があるかわからないので、
(もしかしたら、裕太たち以外にも侵入者がいるとか、他にも生物が
いるかもしれない…)
ゆっくりと慎重に、懐中電灯の丸い輪が、洞窟の壁をなめるように
照らし出していた。
「水の音が聞こえる…海が近いせいかなぁ」
先ほどまで黙っていた颯太は、真剣な顔で、裕太に小声でささやく。
まるで暗闇に…何者かが潜んでいるのではないか…と気にしている様子だ。
しかし湿気ているわりには、思ったよりも歩きやすい。
足元にごろごろとした岩が、あまりないせいか…
もしかしたら、誰か最近、通ったのか?
と、頭の中でひらめく。
「だけど…ここは、なんのために?」
思わず、口にする。
「それとも自然に出来たものなのかなぁ?」
聞くとはなしに、颯太はつい、つぶやいてしまう。
黙って歩いていると、突然、暗闇に何かが動いたような気配がした。
「ヒッ!」
短く声を漏らして、颯太の足が、完全に止まる。
青ざめて裕太も、立ち止まった。
「おまえたち、ここへ何しに来た!」
いきなり低く、押し殺した声が…闇の奥から聞こえてきた。
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