ひどく焦燥した顔で、おばあさんは落ち着きなく、キョロキョロしている。
「ボクたちは、大丈夫です」
キッパリと裕太がそう言うと、颯太に向かって目で合図した。
(いいか、とにかく外へ出るぞ)
声には出さずに、心に念じると、お互いにうなづき合うと、おばあさんに
手を差し出した。
戸惑いを隠せないおばあさんを、半ば強引に助け起こすと、ゆっくりと
このニワトリ小屋から外へと脱出をはかる。
まずは、先に小屋の外へ出る裕太。
辺りを見回すと、颯太に手招きをして、
「大丈夫、今なら誰もいないよ!」と言うが早いか、即座に2人に手を貸して、
颯太とおばあさんが、ゆっくりと歩幅を合わせて、外へと連れ出した。
それからおもむろに、裕太はポケットから、仙人からもらった呼子笛を
取り出す。
その手元を見たおばあさんが、
「あら、それは…」
小さな声でつぶやいた。
それにはかまわず、裕太は深く息を吸い込むと…
思い切り肺の空気をすべて吐き出す勢いで、
ピーッ!と力強く吹いた。
岩場に反響するくらいの大きな音で、もう1度、大きく息を吸い込むと、
ピーッ!
ザワザワザワ…
梢が風に揺れた。
あまりの鋭い音に、おばさんは蒼白な顔になり、裕太に取りすがると
「何やってるの?あの男たちに、見つかってしまう…」
哀願するように、裕太の腕を弱々しい腕で、引こうとする。
「あなたたち、私のことは、もういいから…
早く、お逃げなさい!」
体でぶつかるように、裕太の背中を押した。
おばあさんは、尋常ではないくらい、ひどく怯えている。
ガタガタと身を震わせて、
「早く…早く逃げて!」
その場に立つのがやっとで、今にも倒れ込みそうであった。
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