にじるように、カイくんがケンタに顔を近付けると、ケンタは
嫌な予感がして、少し後ずさりしました。
カイくんは気にせず、ズカズカ近寄ると
「おまえが、連れてってくれないか?」
ひどく真剣な顔をして、言いました。
ケンタを、まっすぐに見つめます。
ケンタは、目をそらします。
「行ったけど…ほとんど覚えていないんだ…」
顔を赤くして、うなだれます。
期待で目をキラキラしていたカイくんは…、みるみるまゆ毛を
吊り上げて、不機嫌な顔になりました。
「おまえ…なんで覚えてないんだよ~」
抑えきれずに、思わず大きな声をあげました。
部屋の隅で、コソコソと話していたケンタたち。
机のところで、先生と話していた、カオリちゃんが、
驚いた顔で、こちらを見ています。
ケンタはあわてて、「あっ、しぃ~っ!」
人差し指で口を抑えるけれど、カイくんは全く気にする
様子もありません。
信じられないとばかりに、大きく目をむいて、呆れた
顔をして
「どうしてなんだ?
なんで、自分の行ったところの、場所を覚えていないんだ?」
責めるようにいうので、ますますケンタは申し訳なくて…
ますます顔を真っ赤にして、
「だって、暗かったんだもん。迷子になったんだもん」と…
ボソボソと、小さな声で、言いました。
