「ケンタくん、よく覚えていたわね」
メアリーさんがそう言うと、ケンタはひどくうれしくなり、
「そんなことないよぉ」と照れたように言いました。
それからふと、思い出します。
(あれはそうだ・・・父さんの紫のバラを見つけた時に、行ったお庭だ…)注**
あの時は、こことは別の入り口だったのでしょう。
だからすぐに、わからなかったのです。
だけども、中に入ると、同じような光景が広がっているので、
ケンタにも、すぐそれがわかったのでした。
「あれって、夢じゃなかったんだね!」
思わずケンタが、声を上げると、メアリーさんはニッコリとして、
「なんのこと?」と聞き返します。
「ほら・・・また、きれいなお花を探しに行ったの・・・あれ」
ケンタはうまく言葉が見つからずに、もどかしそうな顔で、
メアリーさんを見上げると、
「あぁ、あれ?そうよ」
もちろん、という顔をして、メアリーさんがうなづきます。
ケンタと目を合わせると、ニッコリと微笑みました。
すると、カイくんとタカシくんはなんのことかわからずに、
ケンタとメアリーさんを見比べています。
「なに、なに?」
「なんのこと?」
と聞き返すので、メアリーさんは少し唄うように、
「ケンタくんとの内緒の話!」
いったずらっぽい顔をしました。
注** この話は、「ケンタと紫のバラ」に書いています。
アルファポリスにて、連載していました。
