「ボクじゃないよ」
思わず裕太が言うと、母さんの口もとはゆっくりと開き、
にっこりと微笑みました。
「島1周ね・・・」
さぐるように、裕太を見ると、はぁ~とため息をついて
「このガンコなところは、誰に似たのかしら?」
ちっとも、折れやしない!
ブツブツ言いながらも、地図を見つめている。
白いコピー用紙のようなものを、継ぎ足して、継ぎ足した
大きな1枚の紙にもl、じいちゃんの執念のようなものを、
感じられた。
じいちゃんらしい、太くてきりっとした、迷いのない線で、
その地図は描かれていた。
さらに、あちこちに、ルートや目印を指し示すために、
赤い線も入っていた。
「気をつけなさいよ」
いつの間にか母さんが、回り込んでいた。
もはや、裕太をあきらめさせるのに、失敗した・・・と
悟ったのだろう。
裕太はそれに、あえて気付かないふりをして、
「うん」と答え、
「まだ少し、書きかけてるね」とつぶやいた。
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