「一体、あなた達は、何を探してるんだい?」

思わず自転車屋さんが聞いたのは、2人があまりに、真剣な表情を浮かべていたからだろう。
「なにか、噂とか聞かないか?」
さらにじいちゃんが聞くと、
「そうだなぁ」
と男は考え込んだ。
「ボクも越してきて、まだ日が浅いからね。あまり人付き合いがないんだ。
よそものは、時々来るけど、釣りに来る人は、昔からいたみたいだし。
ボクもまぁ、よそものみたいなもんだしなぁ」
 
 これ以上聞いても、らちがあきそうにないので、その場をあきらめて、
じいちゃんは、裕太をうながした。
「変なこと聞いて、悪かったね!
ありがとうさん!」
じいちゃんがにこやかに手を振ると、二人は肩を並べて、店を出ていった。
 
 裕太がチラリ…と後ろを振り返ると、自転車屋の前では、まだあの男の人が、こちらを見ている。
何か考え込んでいるように、腕組みをしていた。
 
 
 
 
 
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