「何を・・・古臭い」
男がつぶやくと、善行をジロリと見て、
「同じようなもんじゃないか・・・今どき、質屋でもなきゃ、人は来んだろう」
決めつけるような物言いでした。
善行は、グッと下唇をかみしめて、
「お引き取りください」と、思わず言いそうになったけれども、
そこへヒョイとかぶせるように
「見もしないで、なんだ、その態度は!」
逆に噛みついてきました。
背中を向けて、ガマンしていた善行ですが・・・
売られたケンカは、買うタイプなので、思わず
「見るもの自体が、存在しないなら、こちらとしても、どうしようも
ありませんね」と、気持ちをおさえて、言い返し、
ようやく「お引き取りください」と言ったのでした。
男はみるみる、顔を朱に染めて、
「たかが便利屋のくせに、偉そうに!」
男は言い、窓際に立てていた人形に手を伸ばし、
つかんで、投げつけようとしました。
「あっ!」
肉屋のオバサンは、悲鳴のような声を上げて、思わず男に
飛びつきます。
「なにすんだよ~このばばあ!」
そう言って、振り払おうとしました。
だけど、
「うちの商品に、手を出すのは、やめてもらおう」
すばやく善行は、男の手をつかみました。
善行が男の腕を、とつかまえるのと、シニアオヤジーズに、取り囲まれる
のが、ほぼ同時の出来事でした。