男の問いに、適当に答える善行。
すると、男は大きくうなづき、
「そうですね・・・アーティスト、というか・・・
まぁ、当たらずとも、遠からず、といったところですか・・・」
なんとなくうやむやにまとめようとするので、かえって善行にはうさんくさく
見えました。
自称アーティストなど、いくらでも語れるからです。
実際のところはわかりませんが、少なくとも、青白く、今にも倒れそうなくらい、
食い詰めた・・・という昔のイメージとはひどくかけ離れ、コザッパリとした
身なりをして、食い詰めることなく、どうにか暮らしている・・・という風に
見受けられたので、別にきちんと生活するだけの収入がある・・・と、
勝手に解釈していました。
だけども、深くは追及はしませんでした。
「それで?」と、促してみると、男はうなづくと、
「もともと、あの人形は、彼女の恋人からもらい受けたもの・・・と聞いております」
と話し始めました。
それは、おばあさんの若い頃の話でした。
男は、椅子に深く腰掛けると、誰に問われることもなく静かに話始めました。
「トキコさんはもともとは、商家の娘さんで・・・ボクの家の近所に住んでいたのです。
そこで若い人形師と出会って、恋におちた・・・と聞いています。
2人は2世を誓ったのですが、両親の反対に会い、その恋は、実らなかった・・・と聞いています」
その恋の顛末を聞かせてもらったのです。
にほんブログ村

人気ブログランキング